トロントで有名な州立Humber Collegeの貴重な体験談です。カナダのカレッジでは「ポストグラジュエート・プログラム(ポスグラ)」といって、4年制大学卒業資格(学士号)を持っていると受講できるいわゆる「スキルを身につける大学院」で学ぶことができます。ポスグラのプログラムは1年もしくは2年の長さが多く、4年制を卒業した学生や社会人などがクラスメイトとして集まるので、クラスの雰囲気も落ち着いており、カレッジの2年のDiploma(準学士)資格よりも就職率が高いとされています。
日本ではまだあまり知られていない州立プログラムですが、卒業後、カナダで就職したい、移民になりたい、現在の仕事よりキャリアアップしたいという方には必見です。
1) 学校について教えてください!
・通った学校
Humber College
・受講したプログラム
Post Graduate, Global Business Management
・学校の特徴
Lakeshore Campusは、湖の近くなので落ち着いていて治安も良く、勉強に集中しやすい環境です。
広いキャンパスには図書館だけでなく自習するスペースがたくさんあります。Writing Centerというサービスが毎日利用可能なので、留学生も課題提出の前に文法のミスをなくすことができます。僕の場合統計学の質問でMath Centerを利用することもあります。ジムは広くてとても快適です。ウエイトルームだけではなく、フィットネススタジオ、体育館などが使い放題です。カフェテリアがキャンパスに2つ、ティムホートンというカフェが1つあります。International Student Centerに行けば、履修登録など助けになってくれます。
・学校の質
Under Graduate(4年制卒業資格:学士号)に関して言えば、そこまで勉強には熱心でない生徒が多いような気がします。大学生活を楽しんでいる、普通の若者といった感じです。ジャズなどの音楽コースが有名らしいので、音楽を懸命に学んでいる学生を多く見ることができます。僕の学んでいるpost graduateのコースは少し状況が異なります。それぞれ大学を母国で卒業して、ビザ獲得のためにハンバーのコースを受けている生徒たちなので、優秀な学歴やずば抜けた能力を持っている学生が多く見られます。ロシア、ウクライナ、マセドニア、ブラジル、中国、モーリシャス、イギリスなどから来ている生徒はとても成績が良いですし、教養もかなりあります。カナダ人は授業態度が良く、課題などの理解でも留学生をよく助けてくれますが、質の高い教育を求めているわけではないといったような感じです。インドとジャマイカから来た生徒は言い過ぎではなく基本的に勉強していません。インドのムンバイという大都市から来た生徒たちだけはかなり洗練されているイメージです。僕の受けているコースで面白いなと思うのが、カナダの移民情勢が教授の選び方にも影響されている点です。以下、semester 1 のクラスです。
Human Resources
中国人女性、夫がフランス人なのでフランス語も可能。ドイツでの就職歴が長く、現在もカナダで働きながら授業を兼務。→ カナダ人からしたら発音がめちゃくちゃらしいですが、中国のアクセントに1番近く、日本人にはなかなか難しいです。日本人にとって、一番専門用語に対処しないといけないのがこのクラスです。
Project Management
ジャマイカ人男性、アクセントがかなり強いです。元々の仕事がゴルフのインストラクターで、メールなどのコミュニケーションができないのと、その日のテーマをきちんと教えることができていない(一部の生徒が毎回間違いを正している)ような状況なので、発音、内容ともにかなり厳しいクラスです。課題は最初から最後までグループワークになります。授業は主にその課題についての説明です。他の生徒の成績と一緒にまとめられてしまうので、好成績を取るのがほぼ不可能に近いです。
Management Economics
フィリピン人男性、アクセント強いですが、日本人には聞きやすい方だと思います。日本に留学経験のある方なので、授業前後のケアなどもしっかりとしてくれますし、日本人は特に気にかけてくれます。経済の基本的な知識から学びますが、情報量はかなり多いです。日本人には有利です。
Statistics
サウジアラビア人男性、一番教授っぽい雰囲気を持っています。とても綺麗な英語を話しますし、教えるのも抜群に上手だという評判が全員から出ています。統計学は難しいので、成績もかなり先生に依存すると思われます。
Career Development & Pre placement seminar
中国バックグラウンドのカナダ人女性、発音はミックスですがネイティヴに近いです。授業では、インターンシップに向けての準備を始めていきます。Global Business Managementでは、320時間以上のインターンを終了しなければ卒業ができないので、最初のセメスターでそのための準備を行なっていきます。基本的な就活の知識や方法、コツを学ぶだけではなく、レジュメの書き方やエレベータースピーチ、SAR ストーリー、リンクドインプロファイルをつくることを義務づけられます。それぞれが成績に反映されます。結果的に、この授業が終われば自動的に就職活動が始められる状態になります。
Computer Analytic skills
ドイツ系カナダ女性、アクセントなし。このクラスはほとんどが自習になるので先生は基本的にテストの説明をするだけです。実は一番難しいのがこのクラスで、全生徒が毎日のようにパソコン室に長時間滞在する羽目になります。マイクロソフトのword, excel, power point, project の使い方が、かなり詳細なところまで聞かれます。テストが難しいので、数回のテストに向けてひたすらマイクロソフトの機能を覚えます。
・学校の良い点・悪い点
すべての施設が新しく、快適です。ジムやカフェテリアで新しい友達との交流の機会が多く持てます。
カナダ人が最多数。中国人とインド人の割合が特に多いです。コースによりますが、2年以上の在学で長めのビザを取得できるコースに彼らは集中している傾向にあると思います。悪い点で言いますと、大学で多くの生徒が共通して悩んでいるのが、インド人学生の学習態度の問題です。テストではカンニングやズルをするのが当たり前、グループワークは参加したがらないだけではなく、コピー&ペーストの無断転用による危険に常にさらされることになります。大学はその点に厳しいので、インド人学生が同じグループにいただけで、一緒に0点を与えられてしまう学生が頻繁に見受けられます。どこまで辛抱強く彼らを説得できるかも大事ですし、おかしな理由ですが自分の成績を守るために詳細なニュアンスを打ち合わせるための英語力が必要になるので、2年以上のコースで学ぶにはそれなりの準備が必要となります。インド人の友達から聞いたところによると、彼らは小さな頃から大学卒業まで、教授絡みでカンニングが肯定されてしまっているようなので、治すのは難しいとのことです。
僕の学んでいるコースには、ビザ取得のための強力なアドバンテージが存在します。
4 semesterから成るコースですが、連続して受講することでトータルで卒業まで2年かかりません。にもかかわらず、カナダ政府からは2年分の教育を修了した証明書が発行されます。最短16か月です。
Winter semester → January ~ April 4ヶ月間
Summer semester → May ~ July 3ヶ月間
Summer Vacation → August
Fall semester → September ~ December 4ヶ月間
以上が年間のカリキュラムになります。Summer semesterだけ授業日数が減る分、授業時間が増えます。
途中どこかのsemesterを丸々休みにすることもできますし、続けて4つ終わらせてしまうこともできます。
問題は、インターンシップです。授業を受けながら空いた時間で働くこともできますが、僕の場合はどこかで休みを取ってその4ヶ月間にインターンを修了させたいと思っています。
2) 留学全体について教えてください!
・留学スタイル
日本での大学卒業後、準備を進めてからカナダへ。初めにEnglish Academic Programを2ヶ月受講しました。
そこで80%以上の成績を取って、post graduate コースへ入学しました。
・留学をやって一番やって良かったと思うこと
日本のこういうところが好きじゃないと感じて海外にでてみる中で、長く滞在していると日本にいる時は気づかなかった日本の良さに気づけるようになります。日本に対して不満を感じることはたいてい表面的なことが多くて、普段暮らしていると考えることすらないようなところで、自分の生活が支えられていたことに気づきます。また、普段日本にいると「日本びいき」の操作された情報にばかり触れることになるので、真実からはかけ離れた常識を持ってしまいがちです。英語と国際的なコミュニケーションをしっかり身につけることで、地に足をつけてグローバル社会を生きて行くことができるように思います。
・留学中どうやって学校選びや進路を決めたか?
同じキャンパスにいる友人たちと一緒に調べました。色んな国の情報を集めて一番良い選択にせまれるので、中国のウェブサイトの情報なども信頼しました。中国人は日本人と比べたらカナダではマジョリティなので、かなり情報に精通しているように思いました。また、ウエストコーストのスタッフさんと数多くのメールのやり取りやスカイプをしていただき、自分の得た情報と照らし合わせて、そこで確信を持てたものを選択するようにしました。基本的には、⑴ダウンタウンから遠すぎない、⑵交通面の不便がない、⑶自分が興味のあるコースなどを意識しました。僕はトロント国際映画祭などのイベントに強い興味があったので、トロント内に暮らすことは重要でした。
・留学中、困ったことはどういうことがありましたか?
ホストファミリーのお母さんが禁煙して、かなり生活リズムが乱れてしまったことです。留学生がいくら頼んでも、食事にありつけないことがあります。他の友達を見ていても、ホストファミリーの食事の質があまり良くないので、結果外食ばかりになって食費がかさんでしまいます。
・これから留学する後輩へ一言
どうせなら難しい選択をするのがオススメです。